- はじめに
- 第1章:倉庫業界を取り巻く環境変化とM&A活発化の要因
- 第2章:事例で見る倉庫業界M&Aのトレンド
- 2-1. 守谷商会による未来ネットワークの子会社化(2024年11月8日)
- 2-2. ヤマトホールディングスによるナカノ商会の子会社化(2024年11月5日)
- 2-3. 堂島汽船による兵機海運へのTOB開始(2024年10月18日)
- 2-4. 丸一鋼管による佐藤型鋼製作所の子会社化(2024年9月6日)
- 2-5. シーズメンによるゼアーの作業録画ソリューション「テモトル」事業の取得(2024年8月8日)
- 2-6. GFAによるフィフティーワン株式の譲渡と再編(2024年7月26日)
- 2-7. 売れるネット広告社によるアクセスブライトの中国越境EC事業取得(2024年6月28日)
- 2-8. ヒガシトゥエンティワンによるネオコンピタンス子会社化(2024年6月14日)
- 2-9. 芙蓉総合リース、タイの物流サービス企業PLICを子会社化(2024年5月31日)
- 2-10. サクサホールディングスによるソアーの子会社化(2024年5月29日)
- 2-11. コアコンセプト・テクノロジーによるPro-Xの完全子会社化(2024年4月16日)
- 2-12. バローホールディングスによる鷺富運送子会社化(2024年4月2日)
- 2-13. 古林紙工による金剛運送の追加株式取得・子会社化(2024年3月19日)
- 2-14. トナミホールディングスによるアペックスへの民事再生スポンサー支援(2024年3月15日)
- 2-15. ニッコンホールディングスによるミツバロジスティクスの子会社化(2024年3月14日)
- 2-16. ネクスグループによるケーエスピーの株式交換子会社化(2024年2月22日)
- 2-17. KeyHolderによるトポスエンタープライズへの民事再生スポンサー支援(2024年1月26日発表、同年4月30日追記事項)
- 2-18. 安田倉庫によるHIROMIカンパニー(オリエント・サービス傘下)の子会社化(2023年12月22日)
- 2-19. エムティジェネックスによる電気工事業アイテックの子会社化(2023年12月13日)
- 2-20. 五健堂によるナワショウの神奈川・愛知拠点事業の取得(2023年12月11日)
- 2-21. 関通による河出興産の出版物流サービス事業取得(2023年11月15日)
- 2-22. イチネンホールディングスによる日東エフシーの子会社化(2023年10月31日)
- 2-23. トナミホールディングスによる山一運輸倉庫・丸嶋運送子会社化(2023年10月2日・3日)
- 2-24. レオパレス21によるASPENN INVESTMENTSの譲渡(2023年8月8日)
- 2-25. 三菱倉庫による米国Cavalier Logisticsグループの買収(2023年10月3日完了)
- 第3章:倉庫業界M&Aの主要動機とシナジーの具体例
- 第4章:倉庫業界M&Aの留意点
- 第5章:倉庫業界M&Aがもたらす未来展望
- おわりに
はじめに
倉庫業界がこれまでにないほど活況を呈している。EC(電子商取引)の拡大や、食品・医薬品などのコールドチェーンニーズ、さらには新たなサプライチェーン構築の必要性などが背景にあり、いかに効率的かつ多機能な倉庫運営を行うかが企業の競争力を左右する時代になった。こうした状況下で、多くの倉庫事業者や物流関連企業が事業規模の拡大やノウハウの強化、ネットワークの拡充を目的としたM&A(合併・買収)に積極的に乗り出している。
本稿では、2024年から2025年にかけて公表された倉庫・物流業界関連のM&A事例を中心に、その背景と意義、さらには企業価値向上のための新たな戦略を探る。掲載している事例は合併、株式取得(子会社化)、事業譲渡、株式交換、TOB(株式公開買い付け)など多岐にわたるが、それぞれに共通するのは「倉庫や輸配送のネットワーク強化」「企業としてのシナジー創出」「サプライチェーン管理の高度化」といった狙いである。倉庫業は製造、流通、小売といったさまざまな産業の要(かなめ)として位置づけられる。そこにITソリューションや人材サービス、金融機能などを組み合わせる動きも見られ、業界構造は大きな変革期を迎えている。倉庫業界がなぜこれほどまでにM&Aを活用しているのか、そのポイントを詳説するとともに、今後の可能性を展望していく。
第1章:倉庫業界を取り巻く環境変化とM&A活発化の要因
1-1. 倉庫業界における新たな潮流
倉庫業界は、単に貨物を保管するだけではなくなって久しい。物流の高度化や消費者のニーズ変化に伴い、「在庫管理」「検品」「流通加工」「包装」「配送」「ITによるトレーサビリティ」「コールドチェーン管理」など、多様なバリューを提供する存在へと進化している。とりわけEC需要の高まりや、食品・医薬品の低温流通、市場グローバル化による貿易実務への対応といった課題が顕在化し、それぞれの企業が自社の物流ネットワーク・倉庫サービスを拡充する必要に迫られている。
1-2. 人手不足と労働環境への対応
業界内で深刻化しているのが、ドライバーや倉庫作業員、現場管理者などの人材不足である。物流の「2024年問題」と呼ばれる時間外労働規制の強化により、トラック輸送や倉庫内オペレーションを含むすべての現場で効率化が不可欠になった。加えて、少子高齢化の影響から若年層の労働力確保は困難を極める。そのため、倉庫・物流企業はより広域的かつ大規模なネットワークを構築し、拠点の集約や相互補完、あるいは先端技術を導入して生産性を向上させる必要に迫られている。
1-3. 事業領域の拡大と川上・川下との連携
「倉庫業+α」の付加価値提供は年々加速している。運送や港湾事業との垂直統合、情報システム開発との連携、人材派遣サービスとの組み合わせなどが代表的で、単なる倉庫保管だけではなく、荷主企業のコスト削減やリードタイム短縮に貢献する戦略的パートナーとしての役割が強まっている。M&Aはこうした付加価値拡大をすばやく実現できる手段であり、既存顧客のロイヤルティを高めると同時に新規顧客も獲得しやすくなる。
1-4. IT・DX化への投資負担と共同戦線
倉庫内の在庫管理や出荷作業にAIやIoT、各種センサー技術を導入する動きも広がっている。しかし、最新設備や大規模なシステム導入には相応の投資負担がかかる。規模拡大によるキャッシュフロー強化や、専門ノウハウを持つ企業との連携が必須であり、そのためにM&Aや資本業務提携が選択されるケースが増えている。
第2章:事例で見る倉庫業界M&Aのトレンド
ここからは、実際に2024年~2025年に公表された事例を中心に見ていく。大手物流企業による戦略的買収から地方倉庫会社間の提携、グループ再編に伴う倉庫部門の譲渡など、多種多様な背景があることが分かる。
2-1. 守谷商会による未来ネットワークの子会社化(2024年11月8日)
事例概要
- 買い手:守谷商会(長野県が主力地盤の建設業)
- 売り手(子会社化対象):未来ネットワーク(長野県佐久市/売上高6億6100万円、純資産2億800万円)
- 取得目的:ユニットハウス製造事業の取り込みによる多様化
- ポイント:軽量鉄骨で組み立てる箱型建物の製造、将来的に倉庫用途としての展開も期待
ユニットハウスは即時性に優れ、工期短縮が図れるため、事務所や店舗、仮設倉庫などさまざまな用途で需要が増えている。守谷商会は建設事業で培ったノウハウを基盤に、多彩な“ハコ”の提供を行う方針を示しており、未来ネットワークとのシナジーが見込まれる。建設会社が工場や倉庫の建屋を自社施工するだけでなく、ユニットハウスを流通倉庫や簡易保管施設として活用する需要を取り込めれば、地域のインフラ整備に付加価値を提供できる。加えて、鉄骨製のユニットハウス事業を取得することで建設以外の分野に収益源を広げる狙いがある。
2-2. ヤマトホールディングスによるナカノ商会の子会社化(2024年11月5日)
事例概要
- 買い手:ヤマトホールディングス(大手宅配事業者)
- 売り手(子会社化対象):ナカノ商会(東京都江戸川区/売上高867億円、営業利益46億5000万円、純資産89億1000万円)
- 取得価額:469億4300万円
- 取得比率:87.7%(第三者割当増資引き受け+既存株主から取得)
- 狙い:顧客基盤の相互活用、倉庫・輸送ネットワークの統合運用、法人物流のさらなる拡大
ナカノ商会は全国51カ所の拠点を展開し、小売事業者・食品メーカー・EC事業者などの上流物流に強みを持つ。一方のヤマトグループはBtoC宅配が主力だが、EC分野では大手アパレルや雑貨商社との取引実績を積み重ねつつある。両社の異なる顧客基盤を有機的に結びつけることで、共同物流の提案や拠点の相互利用が見込まれる。
また、ナカノ商会はサブリース事業にも強く、顧客の仕様に合わせた物流施設を整備し賃貸するノウハウをもつ。ヤマトHDは近年、自社の大規模ターミナルや全国配送網を活かして、ラストワンマイルだけでなく上流から下流までの一貫物流を提案する姿勢を強めており、今回のM&Aは法人顧客向けサービス拡充において大きな前進となる。
2-3. 堂島汽船による兵機海運へのTOB開始(2024年10月18日)
事例概要
- 買い手(TOB発表者):堂島汽船(大阪市)
- 対象企業:兵機海運(内航海運・倉庫業を営む上場企業/東証スタンダード)
- 買付予定数:21万3300株(所有割合17.8%)
- 目的:兵機海運との資本業務提携への発言力強化
兵機海運は内航海運・外航海運・港湾・関税・倉庫業などを展開している老舗。堂島汽船はTOB前に1.17%保有しており、今回さらに18%程度を追加取得する意向だ。20%未満の範囲に抑える理由は、経営権の争奪ではなくあくまで「意見反映と連携強化」が目的であるためとみられる。兵機海運は海上輸送に加え、倉庫や港湾物流も手がける総合海運企業だけに、今後は堂島汽船のネットワークとのシナジーが期待される。
2024年問題による陸上輸送の制約や人件費高騰を背景に、内航海運や港湾倉庫を含む海上物流は今後さらに注目される分野である。両社の連携による海陸一体の物流サービス強化が実現すれば、顧客にとって輸送手段の選択肢が広がり、さらなる効率化を目指すことが可能となる。
2-4. 丸一鋼管による佐藤型鋼製作所の子会社化(2024年9月6日)
事例概要
- 買い手:丸一鋼管(鋼管製品大手)
- 売り手:佐藤型鋼製作所(広島市/売上高22億8000万円、営業利益4億9500万円)
- 狙い:物流倉庫や工場向けの建築用鋼製下地材事業の強化
丸一鋼管は、表面処理鋼板や鋼管製品を主力とし、建設・産業・自動車など幅広い分野に供給している。佐藤型鋼製作所が扱う建築用鋼製下地材は、物流倉庫や工場といった大規模施設で採用されるケースが多い。近年ECの拡張やサプライチェーンの見直しにより新設物流倉庫の需要は高水準にあるため、丸一鋼管は関連資材の安定供給と市場シェア拡大を狙ってM&Aに踏み切った。
両社の技術・販売網を統合することで、製品ラインナップを拡充しつつ、受注から製造・納品までを効率化することが期待される。今後も大型物流施設建設は継続するとみられ、建築用鋼材の市場は安定した需要が見込まれる。
2-5. シーズメンによるゼアーの作業録画ソリューション「テモトル」事業の取得(2024年8月8日)
事例概要
- 買い手:シーズメン(アパレル小売を中心に事業展開)
- 売り手(譲渡対象):ゼアー(物流向けサービス提供)から「テモトル」事業
- 狙い:倉庫内作業の録画システムを取り込み、物流向けITサービス強化
「テモトル」は出荷検品や梱包作業をワンクリックで動画確認できる仕組みを提供する。ECにおける返品や注文内容のトラブルの際、映像で作業状況を即時に確認できる利点があり、倉庫作業の品質管理に加え、不正取引(「EC万引き」など)の抑止にも効果的である。
シーズメンは衣料品小売事業に依存する経営体質を変えるため、ITサービス領域へシフトを進めている。物流向けソリューションとして「テモトル」を獲得することで、顧客企業のコールセンターと倉庫現場を映像で結びつける付加価値を提供できるようになり、新規顧客の開拓にもつながる。
2-6. GFAによるフィフティーワン株式の譲渡と再編(2024年7月26日)
事例概要
- 売り手:GFA(投資銀行宣言を掲げる企業)
- 譲渡先:アークサービス(不動産コンサル)
- 対象:フィフティーワン(運送事業子会社/売上高11億7000万円)株式55%
- 残保有株式:25%はGFAが継続保有
GFAはフィフティーワンを2022年10月に株式交付で子会社化したが、その後の経営戦略見直しによりフィフティーワンの株式を一部譲渡する方針に転換した。とはいえ25%を保有し続けるため、運送事業とのシナジーは維持する意図がある。
フィフティーワンはチャーター便や貸切配送、倉庫保管、医療品輸送など多角的な事業を手がける。アークサービスは不動産分野でノウハウを持ち、倉庫や拠点の管理面でサポートする可能性が指摘される。運送事業・倉庫事業と不動産活用を組み合わせる動きは、今後さらに拡大が予想される領域である。
2-7. 売れるネット広告社によるアクセスブライトの中国越境EC事業取得(2024年6月28日)
事例概要
- 買い手:売れるネット広告社(Web広告、マーケティング支援)
- 売り手(譲渡対象):アクセスブライトの中国越境EC事業(売上高7600万円、営業利益5600万円)
- 取得価額:1億2000万円
- 狙い:EC市場の海外進出、特に中国マーケットへの本格参入
アクセスブライトは日本と中国に倉庫を構え、直送モデル・保税モデルどちらにも対応できる物流体制を築いてきた。また、中国SNSを活用したインフルエンサーのPRなど幅広いサポートも可能。売れるネット広告社は米国向けEC支援に続き、中国市場の旺盛なEC需要を取り込む狙いがある。近年、中国では越境ECの需要が高まり続け、日本製品の品質への信頼感も根強い。こうした背景から、越境EC事業を獲得して参入を加速するM&A事例といえる。
2-8. ヒガシトゥエンティワンによるネオコンピタンス子会社化(2024年6月14日)
事例概要
- 買い手:ヒガシトゥエンティワン(物流企業)
- 売り手(対象):ネオコンピタンス(人材派遣業/売上高20億1000万円、純資産2億7600万円)
- 狙い:倉庫内作業(検品、仕分け、梱包など)派遣人材の確保、首都圏3PLとの連携
物流倉庫内作業においては慢性的な人手不足が課題となっており、安定した労働力の確保は企業にとって死活的問題である。ヒガシトゥエンティワンが今回ネオコンピタンスを完全子会社化することで、首都圏のビル内デリバリーや3PL事業における人材需給を安定させ、サービス品質を高める狙いだ。
従来、物流企業は派遣会社と提携するケースが多かったが、ここでは人材派遣企業を直接買収しグループ内に取り込む戦略をとった。これにより、人材獲得と教育体制の一元管理が可能となり、派遣コストの圧縮や人材定着率向上などの効果も期待できる。
2-9. 芙蓉総合リース、タイの物流サービス企業PLICを子会社化(2024年5月31日)
事例概要
- 買い手:芙蓉総合リース(総合リース大手)
- 売り手(対象):PLIC Corp., Ltd.(タイ/フォークリフトレンタル、物流コンサル)
- 持ち株比率:49% → 100%(間接保有分含む)
- 狙い:タイにおける事業基盤拡大、モビリティー(移動・運搬)分野のグローバル展開加速
芙蓉総合リースはフォークリフトなど産業車両のリース事業を国内外で展開しているが、東南アジア特にタイは自動車産業や日系企業が集積する重要拠点である。PLICが提供する物流倉庫や機器設計コンサルと、芙蓉総合リースの金融サービスが連携することで、アジア全域へのサービス拡充が可能となる。物流現場では設備投資への資金需要が高く、複数のリース・ファイナンス商品を組み合わせることで顧客企業のオペレーション最適化を支援できる点が大きい。
2-10. サクサホールディングスによるソアーの子会社化(2024年5月29日)
事例概要
- 買い手:サクサホールディングス(通信機器、電子部品などを手がける)
- 売り手(対象):ソアー(山形県米沢市/有機ELディスプレー製造、売上高45億8000万円)
- 狙い:隣接拠点との一体運営による生産性向上、外部倉庫賃貸費の削減
サクサグループの主力工場サクサテクノとソアーは敷地が隣接しており、工場や倉庫スペースの有効活用が期待できる。有機ELディスプレー製造技術を持つソアーにはカーエレクトロニクス分野の技術者が集まっており、サクサの通信機器や電子部品製造とも融合が進む可能性がある。
また、建物や設備の老朽化、複数拠点の分散による非効率、外部倉庫の賃料増などが課題であったが、一体運営で物流コストや人員配置を最適化できれば、サクサホールディングス全体の企業価値向上につながる。倉庫領域も社内向け効率化と外部への物流サービス提供双方のポテンシャルが注目される。
2-11. コアコンセプト・テクノロジーによるPro-Xの完全子会社化(2024年4月16日)
事例概要
- 買い手:コアコンセプト・テクノロジー(DX支援事業)
- 売り手(対象):Pro-X(大阪市/物流・販売システム開発、売上高6億1300万円)
- 狙い:物流業向けDX(WMS・TMS開発)への展開強化
倉庫管理システム(WMS)や配車管理システム(TMS)に特化したPro-Xを取り込むことで、コアコンセプト・テクノロジーは物流領域のDXソリューションを拡張する。同社はAIやIoTを活用した業務改革のコンサルティングに強みがあり、Pro-Xの業務知識と連携すれば、物流企業・荷主企業向けの包括的なIT支援を行う体制が整うと期待される。
国内では倉庫管理業務を紙や人海戦術に依存している企業がまだ多く、DX化の余地は大きい。今後、デジタル技術を活用し在庫精度の向上や作業ミス削減を実現するには、Pro-Xのような特化型システム開発企業の価値が高まる見通しだ。
2-12. バローホールディングスによる鷺富運送子会社化(2024年4月2日)
事例概要
- 買い手:バローホールディングス(中部地盤の流通グループ)
- 売り手(対象):鷺富運送(石川県白山市/売上高19億9000万円)
- 狙い:3温度帯輸配送ネットワークの強化、拠点共同利用による効率化
鷺富運送はドライ車・冷凍車合わせ79台を運用し、北陸3県で輸配送サービスを展開する。バローホールディングスの物流子会社である中部興産との協業により、倉庫運営ノウハウの共有や集荷・配荷業務の統合によるスケールメリットが追求できる。食品スーパーなどを多く運営するバローホールディングスは、温度帯ごとの在庫管理や輸配送で大きなコストがかかるが、今回の買収で北陸エリアでの3PL体制がさらに充実することが期待される。
2-13. 古林紙工による金剛運送の追加株式取得・子会社化(2024年3月19日)
事例概要
- 買い手:古林紙工(紙器・パッケージングなど)
- 売り手(対象):金剛運送(横浜市/一般貨物運送事業、売上高2億1300万円)
- 所有割合:36.8% → 100%
- 狙い:製品運送と倉庫管理業務の内製化・物流コスト削減
古林紙工は段ボール・紙器の製造販売で一定規模を持ち、製品運送や倉庫業務の多くを金剛運送に委託してきた。同社は売り上げの85%以上を古林紙工との取引に依存しており、今回の株式取得で完全子会社化することで物流の安定化とコスト管理の最適化を目指す。
紙器業界は原材料価格高騰や環境対応ニーズなど、取り巻く環境が厳しい中、企業体質改善や付加価値サービスの提供が課題となっている。物流を自社グループ下に置くことでリードタイム短縮やコスト競争力強化につなげる戦略が多くのメーカーでも進みつつある。
2-14. トナミホールディングスによるアペックスへの民事再生スポンサー支援(2024年3月15日)
事例概要
- 買い手(スポンサー):トナミホールディングス(富山県地盤の運送大手)
- 対象:アペックス(金沢市/売上高151億円、再生手続き中)
- 取得価額:37億200万円
- 狙い:倉庫・物流事業を中心とする関連子会社9社の包括的取得、冷凍冷蔵食品輸送の強化
アペックスは冷凍冷蔵物流を得意とし、北陸を基点に複数の関連会社を抱えて事業を運営していたが、経営難に陥り民事再生法を申請。トナミHDはスポンサーとして支援を行い、事業を譲り受ける方針を打ち出した。トナミHDは北陸3県はもちろん、全国的にネットワークを展開しており、冷凍冷蔵分野を強化することでECの生鮮食品需要や外食企業への対応を加速する考えがある。
民事再生スポンサー型M&Aは、採算の取れる事業を優先的に引き継ぐことで再建を図る手法であり、再建企業とスポンサー双方にシナジーがある。ただし、再生計画や利害関係者との調整は複雑化しやすく、時間とコストがかかる点にも留意が必要だ。
2-15. ニッコンホールディングスによるミツバロジスティクスの子会社化(2024年3月14日)
事例概要
- 買い手:ニッコンホールディングス(輸送・倉庫業)
- 売り手(対象):ミツバロジスティクス(群馬県太田市/売上高72億6000万円)
- 狙い:主要顧客であるミツバグループへの物流サービス拡充、自動車部品メーカーとの関係強化
自動車関連企業は大量生産からEV化などでサプライチェーンが急変する中、きめ細かな物流対応が求められている。ニッコンHDは梱包・輸送・倉庫などの総合物流を展開し、すでに複数の自動車メーカー向けサービス実績をもつ。ミツバロジスティクスの子会社化により、ミツバグループの物流を一手に引き受けることができ、上流工程から部品の納入・出荷までトータルで管理可能となる。
合併後の社名を「ニッコン両毛」とする予定で、地域密着型のきめ細かなサービス提供を継続しながら、ニッコンHDの全国ネットワークやIT基盤を取り込むことで、さらなるサービス品質向上が見込まれる。
2-16. ネクスグループによるケーエスピーの株式交換子会社化(2024年2月22日)
事例概要
- 買い手:ネクスグループ(IoT関連主体の事業モデルから新分野への進出を模索)
- 売り手(対象):ケーエスピー(飲食店・工場・倉庫向け資材商社、売上高14億8000万円)
- 手法:株式交換(ネクスグループ1:ケーエスピー11393.41)
- 狙い:資材卸売、外食チェーン向け物流最適化サービスなどの取り込み
ケーエスピーは、外食チェーンや製造工場、倉庫向けに包装資材や消耗品を広く取り扱い、さらに店舗オペレーションの効率化支援などを行っている。ネクスグループとしては、IoTやシステム開発だけでなく、製造・小売を含めた物流サポート体制を強化することで安定的な収益源を得る狙い。特に飲食向けの包装資材・物流に関しては国内需要が底堅く、成長余地があると見込まれている。
2-17. KeyHolderによるトポスエンタープライズへの民事再生スポンサー支援(2024年1月26日発表、同年4月30日追記事項)
事例概要
- スポンサー支援元:KeyHolder(エンターテインメント事業を主力)
- 対象:トポスエンタープライズ(千葉市/運送・倉庫業、パチンコホール大手グループの一社として事業多角化)
- 第三者割当増資:再生計画認可確定後、KeyHolderが全株式取得(2500万円)
- 狙い:コンサート・イベント機材輸送、物流倉庫の大型スタジオ転用など
トポスエンタープライズは大手パチンコホール企業のガイアグループに属していたが、ガイアの民事再生法申請に伴い事実上破綻。KeyHolderはエンターテインメント領域でライブやイベントの企画運営を得意としており、機材の搬出入や保管を行う拠点としてトポスエンタープライズの運送・倉庫インフラを活かす狙いがある。倉庫をイベントリハーサルスタジオに改装したり、ツアー機材の長期保管を請け負ったりといった新たな用途を開発することで、単なる運送業の再生にとどまらない相乗効果を目指している。
2-18. 安田倉庫によるHIROMIカンパニー(オリエント・サービス傘下)の子会社化(2023年12月22日)
事例概要
- 買い手:安田倉庫(総合物流企業)
- 売り手(対象):HIROMIカンパニー(愛知県春日井市)、傘下のオリエント・サービス(同/売上高23億2000万円)
- 狙い:中京エリア初の倉庫拠点確保、ネットワークの全国拡大
オリエント・サービスは約170台の車両と自社倉庫を保有し、愛知県春日井市を中心に運送・倉庫事業を行う。安田倉庫はこれまで関東、関西、九州などで事業を展開してきたが、中京地区の拠点は未成熟だった。今回の買収により名古屋都市圏での拡大が期待される。加えて自社車両と倉庫が一体になった運営力を取り込むことで、既存顧客との連携や新規顧客へのアプローチも可能となる。
2-19. エムティジェネックスによる電気工事業アイテックの子会社化(2023年12月13日)
事例概要
- 買い手:エムティジェネックス(オフィスビル内装工事、駐車場運営など)
- 売り手(対象):アイテック(京都市/売上高6億2200万円)
- 狙い:商業施設や物流倉庫向けの電気配線・情報通信工事領域への参入
アイテックは商業施設や病院、物流倉庫など広域にわたり電気工事を展開する。エムティジェネックスはこれまで内装工事やビル管理を事業ドメインとしてきたが、電気通信関連を取り込むことでサービスの幅が広がり、顧客開拓にも追い風となる。
物流倉庫では自動化設備や高度なセキュリティシステム、ITシステムが導入されるケースが増え、電気・通信インフラ工事の需要がますます拡大している。特に大型冷蔵倉庫や多層階倉庫では電力供給が大規模化しており、この分野にノウハウを持つアイテックの強みが活かされるとみられる。
2-20. 五健堂によるナワショウの神奈川・愛知拠点事業の取得(2023年12月11日)
事例概要
- 買い手:五健堂(徳島県を地盤とする物流企業)傘下の六ツ星運送
- 売り手(対象拠点):ナワショウ(大阪府東大阪市)の伊勢原営業所、厚木三田倉庫、小牧営業所
- 狙い:「2024年問題」に備えた中継・拠点の確保
徳島と首都圏を結ぶ長距離輸送において、トラックドライバーの時間外労働規制強化に対応するためには中継拠点の整備が不可欠となる。五健堂グループは愛知県と神奈川県に拠点を設けることで、中継輸送体制を構築し、ドライバーの拘束時間を短縮できる。ナワショウからの事業譲り受けにより、現地スタッフや設備を一挙に引き継げるため、時間と投資を大幅に削減して「拠点ネットワーク拡充」を実現できる。
2-21. 関通による河出興産の出版物流サービス事業取得(2023年11月15日)
事例概要
- 買い手:関通(EC・通販向け物流支援を行う企業)
- 売り手(対象事業):河出興産(埼玉県所沢市/出版物代行倉庫業、売上高13億4000万円)
- 狙い:書籍物流分野への進出、ITサービスを出版業界に適用
出版物流は流通量の減少が一方で課題だが、出版社各社がコスト削減や在庫管理の最適化を模索している中、EC物流で培ったノウハウを投入すれば効率化が可能になると期待される。関通は通販事業者向けに受注管理システム、在庫管理システムを提供し、作業効率を高めるソリューションが強み。出版関連の倉庫業務で同様のIT導入を進め、受注から在庫、返品管理まで一貫して対応できるプラットフォームを構築するとしている。
2-22. イチネンホールディングスによる日東エフシーの子会社化(2023年10月31日)
事例概要
- 買い手:イチネンホールディングス(多角経営企業)
- 売り手(対象):日東エフシー(名古屋市/肥料メーカー、売上高168億円、営業利益25億9000万円)
- 狙い:農業関連事業の強化、子会社の日東運輸倉庫などの取得
日東エフシーは肥料製造2社や貿易事業会社、運送倉庫会社の日東運輸倉庫など計8子会社を傘下に持つ。イチネンHDは野菜生産など農業関連に参入しており、肥料メーカーの買収により川上から川下までのバリューチェーンを構築できる。さらに、日東エフシーのグループには自社の運送・倉庫機能があるため、農産品の物流や資材運搬を一体化し、効率的なサプライチェーンを作る狙いがあると推察される。
2-23. トナミホールディングスによる山一運輸倉庫・丸嶋運送子会社化(2023年10月2日・3日)
事例概要
- 買い手:トナミホールディングス(富山県本拠の物流大手)
- 売り手(対象):山一運輸倉庫(静岡県富士市/売上高19億5000万円)・丸嶋運送(奈良県天理市/売上高16億3000万円)
- 取得日:2023年10月2日・3日
- 狙い:東名阪エリア、関西圏でのトラック輸送・倉庫拠点強化
トナミHDは近年、地方の中堅物流企業を相次いで買収し、全国ネットワークのさらなる充実を図っている。東名阪物流ラインは日本の産業・消費の大動脈であり、そこに新たな拠点を確保できる点が大きい。丸嶋運送は混載便に強みを持ち関西・関東への配送網を持ち、山一運輸倉庫は富士市の製紙関連物流に注力している。いずれも中堅ながら地域に根ざした顧客基盤を持つため、トナミHDとしては輸配送網を強化し多彩な荷主ニーズへ応えられる体制を築ける。
2-24. レオパレス21によるASPENN INVESTMENTSの譲渡(2023年8月8日)
事例概要
- 売り手:レオパレス21(住宅賃貸の大手)
- 買い手:両備ホールディングス傘下のCASCO INVESTMENTS
- 対象:シンガポール子会社ASPENN INVESTMENTS(ベトナムで物流倉庫運営、純資産△300万円)
- 譲渡価額:13億9500万円
- 狙い(売り手側):非中核事業の切り離し
レオパレス21は経営再建の一環として、海外事業や不採算部門の整理を進める中、ベトナムの物流倉庫事業から撤退する決断を下した。倉庫・輸配送ネットワークを強化しようとする企業が多い一方で、メイン事業とのシナジーが乏しい場合には売却に踏み切るケースもある典型例と言える。買い手である両備グループは交通・物流分野に広く事業展開しており、ベトナムにおける物流や商流拡大を図るとみられる。
2-25. 三菱倉庫による米国Cavalier Logisticsグループの買収(2023年10月3日完了)
事例概要
- 買い手:三菱倉庫(倉庫・物流大手)
- 売り手(対象):Cavalier Logisticsグループ(米国・英国/バイオ医薬品・ヘルスケア特化の物流)
- 狙い:医療・ヘルスケア物流の国際展開、日米欧のネットワーク連携
バイオ医薬品やワクチンなどは厳密な温度管理や保管環境が必要なため、専門物流の需要が世界的に増えている。Cavalierは米英でその分野に強い顧客基盤を持ち、GDP(医薬品の適正流通基準)に準拠した設備が整っている。三菱倉庫は国内でも医薬品物流を伸ばしており、Cavalierの買収により北米・欧州を含むグローバルサプライチェーンを構築できる。
近年、医薬品をめぐる規制や品質保証が厳格化される中で、倉庫企業には高度な管理能力が求められる。こうした領域に強みを持つ会社をM&Aで傘下に取り込む事例は国内外で増加傾向にある。
第3章:倉庫業界M&Aの主要動機とシナジーの具体例
3-1. ネットワークの統合・拡充
最も一般的な動機は、地域ごとに分散する拠点網や配送網の補完である。国内に限定しても、東名阪、北陸、東北、九州など地域によって顧客ニーズや産業構造が異なる。全国ネットワークを持つ大手企業であっても、特定エリアの中堅・中小物流会社を買収し、地場密着のノウハウを取り込むメリットは大きい。
また、海外展開においては、現地企業の拠点やライセンス、ローカルスタッフを確保するのが重要であり、そのための買収も活発に行われている。
3-2. サプライチェーン全体への対応
製造業の原材料・部品の搬入から製品倉庫、最終消費者への配送まで一貫して手がける「3PL」「4PL」「サードパーティーロジスティクス」「ロジスティクスマネジメント」の機能を強化するため、各社が川上・川下企業の取り込みを図っている。自社ですべてを賄うには巨額投資や組織整備が必要だが、M&Aで既存のノウハウや資産を一気に獲得する方がスピーディで効果的とされる。
3-3. IT・DXソリューション獲得
物流現場の効率化と可視化を実現するには、WMS(倉庫管理システム)やTMS(配車管理システム)、自動化機器、AI解析、RFID、ロボットなどさまざまなテクノロジーが必要だ。大手物流会社や倉庫会社は自前開発だけでなく、専門ITベンダーやシステム開発企業を買収することで一挙にソリューションを内製化する動きを強めている。
3-4. 差別化サービスの獲得
医薬品物流、食品冷凍・冷蔵物流、貴重品・機密書類保管など、専門性の高い分野を得意とする企業を買収することで、差別化要素を獲得し、価格競争から脱却する狙いがある。医薬品や特殊化学品、危険物のように厳しい規格が課される分野は、適切な許認可・設備・ノウハウが必須であり、M&Aでそれらを包括的に入手できれば参入障壁を一気にクリアできる。
3-5. 労働力の安定確保
前述の通り、物流・倉庫業は慢性的な人手不足に直面しているため、人材派遣会社の買収や、グループ内の雇用管理ノウハウを融合させる動きが見られる。即戦力となる作業員やドライバーを確保できれば、荷主企業からの追加案件にも柔軟に対応できる。「人の確保」を最重要課題とし、M&Aを通じて安定的な労働力基盤の構築を進めるケースはますます増えるとみられる。
第4章:倉庫業界M&Aの留意点
4-1. 事業特性に応じたデューデリジェンス
倉庫業や物流業のM&Aでは、施設の老朽化や立地、倉庫の保管能力、必要な許認可など物的資産に関する精緻な調査が重要となる。加えて、特定顧客への依存度、人員配置、荷主企業との契約更新、設備リース契約などにも注意が必要だ。
4-2. システム面の統合・標準化
ITシステムの統合には大きなコストと時間がかかる。複数の基幹システムや在庫管理システムが乱立したままでは業務効率化が進まず、M&Aのシナジーが十分に出ない可能性がある。契約締結後のPMI(Post Merger Integration)計画で具体的な統合スケジュールを定め、段階的にシステムを一本化する工夫が求められる。
4-3. 人材マネジメントと企業文化の融合
物流企業は現場作業員のモチベーションや経験に左右される部分が大きい。買収後に人事制度が変わったり、経営方針が変化したりすると、従業員の意識が混乱して離職リスクが高まるおそれがある。特にドライバーや倉庫管理者は即戦力かつ採用が難しいため、アフターM&Aでのコミュニケーションや待遇改善策が成否を分ける。
4-4. 過剰投資リスクとROI
倉庫施設は一度建設すると長期にわたって稼働するが、需給バランスや利便性の変化により稼働率が落ちるリスクもある。EC需要が拡大しているといっても、過剰な投資は収益悪化を招く。M&Aでは対象会社が保有する倉庫や車両の実際の稼働率を慎重に検証し、ROI(投資利益率)を確保できるか見極めることが重要となる。
4-5. 海外規制と文化の違い
海外の倉庫企業を買収する際は各国の外資規制や物流法制、習慣、ビジネス慣行を熟知しておく必要がある。共同出資や合弁形態、もしくは外資出資比率を一定以下に抑える仕組みなど、その国のルールに柔軟に対応することがM&A成功の鍵となる。
第5章:倉庫業界M&Aがもたらす未来展望
倉庫・物流企業のM&Aは今後も活発化が見込まれる。国内では人手不足と労働規制の強化、海外ではサプライチェーンの多極化や地政学リスクへの備えなど、企業は迅速かつ柔軟な対応を迫られている。M&Aによって規模や拠点数だけを増やすのではなく、ITや人材のマネジメント力を高めつつ、荷主企業にとってワンストップのソリューションを提供できる存在を目指す流れが加速すると考えられる。
また、倉庫業が担う領域はモノの保管から情報の流通管理、設備リースや不動産活用、DX推進など多岐にわたるようになっている。さらに、グリーン物流への対応として倉庫施設の省エネ化やカーボンニュートラル実現を目指す動きも拡大しており、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点での投資やM&A需要も高まっていくだろう。
総じて、倉庫業界におけるM&Aは「物流基盤整備」の一環であると同時に、「付加価値創出のプラットフォーム拡大」と位置づけられる。技術革新が進むなかで、倉庫業や物流業界が持つ役割はさらに重要になるとみられており、これらの動きを的確に捉えた企業同士の再編・統合は継続的に進むと予想される。
おわりに
倉庫業界は日本経済を下支えするインフラとしての機能にとどまらず、物流の高度化や企業間取引の効率化、さらには社会課題の解決にも寄与しうる存在となっている。その発展には、単なる規模拡大やコスト削減だけでなく、新たな技術やサービスの導入、人材確保の仕組み構築、地域社会への貢献といった複合的アプローチが必要だ。今回取り上げたように、M&Aはそのための強力な手段として多くの企業が活用している。
今後、少子高齢化の加速や災害リスクの増大など、日本の物流を取り巻く環境は一段と厳しくなることが予想される。他方で、グローバル需要やEC市場の伸長といった明るい側面もあり、これらを俯瞰した戦略的なM&Aが進むことで、倉庫業界は新たな価値と成長機会を獲得していくだろう。企業経営者や投資家のみならず、社会全体にとっても、倉庫業界におけるM&Aは注目すべきトピックとしてますます重要性を増しているといえる。